『ミステリと言う勿れ』の主人公・久能整は、「淡々」や「飄々」とした言葉がぴったりと合う人物です。
空気をあまり読むことなく、自身が気になったことを掘り下げたり、発言したり。
淡々と自分の疑問を発言する久能整の姿が印象的ですが、「虐待」についての話題になると、整は普段とは別人のように怒りをあらわにします。
「虐待」についての反応から、「整が過去に虐待を受けていたのではないか?」と思われます。
このページでは、
- 整は過去に虐待を受けていたのか?
- 整の父親、母親、祖母について
- 生い立ち(広島出身?)
についてまとめました。
結論、久能整の過去シーンを見るとおそらく虐待を受けていたのだとわかります。
久能整は父親と祖母から虐待を受けていた
久能整は過去に、父親と祖母から虐待を受けていました。
コミック7巻で描かれている、整の幼少期。
ここで、「すぐ帰って来いって言っただろう。母親と同じで役立たず」と言われながら背負ったリュックごと引っ張られている描写があります。
引っ張られる力の強さで、整は手に持っていたものを思わず落としてしまうほど。
小さな子供にこんな暴言を吐き、力任せに引っ張られている整の様子から虐待を受けていたのは間違いありません。
物語が進むにつれて整の生い立ちも少しずつ明らかになっており、整に虐待をしていたのは父親と祖母であることが明かされています。
久能整の傷は虐待によるものか?
久能整は鎖骨のあたりに大きな傷がありますが、なにが原因でついた傷なのか明らかになっていません。
ただ、過去に虐待されていたことを考えると、虐待によってできた傷の可能性も考えられます。
コミック1巻、逆上した藪刑事に胸倉をつかまれたシーンで初めて整の鎖骨の傷が明らかになりました。
普段身に着けているマフラーも、鎖骨の傷を隠すためではないでしょうか。
「ミステリと言う勿れ」作中の季節が秋・冬のため、マフラーをつけているものだと思っていました。
しかし、整は他人がいる場所でお風呂を入ることを異常に嫌がります。
彼の性格から「もしかして潔癖症なのでは?」とも考えられますが、おそらくは他人に傷を見せないようにしているのではないでしょうか。
整の「ダンゴムシになるクセ」は虐待のせい?
整は、幼い頃からダンゴムシになって怖いことやショックなことをやり過ごしていたことが明らかになっています。
もしかしたら、虐待のせいでダンゴムシになるクセがついたのかもしれません。
バスジャック事件の後、ガロから整のもとに「バスの運転手・煙草森の腕」が送られてきます。
人の腕を見た整はショックのあまり「子供じゃないんだからダンゴムシになっちゃダメ」とつぶやいて丸まっていました。
整は大きなショックを受けると、丸まって「ダンゴムシになっちゃだめだ」と発言する姿が見られます。
「子供じゃないんだから」という発言からもわかるように整は幼少期、ダンゴムシと名付けたこの体勢でショックなこと・怖いことなどを受け流していたのでしょう。
大学になっても幼少期のダンゴムシのクセが抜けていないのです。
整がダンゴムシになるのは、自分の身を守る行動であるということがわかります。
久能整の父親はどんな人物だったのか?
整は、自分の父親について以下のように語っていました。
- 基本は「仕事」と言って家にいない
- 家にいたら瞬間湯沸かし器のよう
- 祖母の味方
- 言葉が通じない
祖母は、整の母親をサンドバッグのようにいじめており、整に対しても同じように接していました。
つまり、祖母の味方だった父親は、同じように整に虐待をしていたということです。
加えて、最初の事件(コミックス1巻)で整は、父親に対する思いを話していました。
「父親にかまって欲しくてグレるのはドラマの話、実際は無関心になるだけ」と語っていた整。
これは、刑事の藪さんに向かって言った言葉です。
しかし、自分の父親に対する想いも込められていたのではないでしょうか。
つまり、整は父親に対して無関心になってしまったということ。
整が無関心になってしまうまでに色々あったのだと考えると切ないですね。
久能整の祖母はどんな人物か?
整の祖母に関しては、整を虐待していたこと、母親を追い詰めていたこと以外、明らかになっていません。
整は、自分の祖母について以下のように語っていました。
- 常軌を逸した人
- 整の母を精神的にも物理的にも追い詰めていた(なぶっていた)
- 整に対しても同じことをしていた
久能整の母親について
久能整の母親は、夫(久能整の父親)と母(実母か義母かは不明)に精神的・肉体的に追い詰められていました。
感情がなくなってしまい、整のことを可愛がってあげたかったけど何も感じなかった母親は、いつも整に「ごめんね」と謝っていたそうです。
整は虐待されてダンゴムシのクセがついてしまったり傷が残ってしまったりと、精神的にも肉体的にも大きな傷が残っています。
しかし、整の母親が受けた苦痛は整以上です。
人が感情を失うというのはどれ程のことなのか。
ましてや自分の子どもをかわいがってあげたいのに何も感じないというのはどれだけ感情を押し殺す必要があったのかがわかります。
そして、整の母親はすでに死亡しており、彼女の死は自殺とされています。
整は母親が自殺したとは思っていません。
整は「事故や殺人で殺されたのに自殺とされてしまうこと」が一番嫌な死に方と言っています。
おそらく、母親の死が自殺と片づけられてしまったことに疑問を持ち続けているのでしょう。
犯人として有力なのは、整の祖母か整の父親、もしくはその両方。
母親の死についてはまだ作中で謎のままになっており、今後明らかになるのではないでしょうか。
久能整の生い立ちとは?広島出身で上京した?
おそらく整は広島出身で上京してきたという生い立ちを抱えていると予想しています。
現在東京に住んでいる整ですが、彼は広島と縁がある人物であることがところどころにちりばめられていました。
- 広島駅で知人と思われる人物に「ととろー」と呼ばれていた
- 広島焼きの食べ方
1:広島駅で知人と思われる人物に「ととろー」と呼ばれていた
汐路が遺産相続を解決してほしいと広島に整を呼んだ際、広島駅でとある人物に声を掛けられていました。
整と小学校が一緒だったであろう人物が、「ととろー?」と整に向かって声を掛けます。
「ととろー」の呼びかけに反応した整ですが、すぐに「人違いです」とその場を立ち去りました。
彼の特徴的な髪型を見て久能整だと判断したのであれば人違いであることはないと予想は立ちますが、整は嘘をついて立ち去っています。
小学校まで整は広島にいたのでしょうが、過去の知り合いとは接点を持ちたくない状況にいるのではないでしょうか。
2:広島焼きの食べ方
広島焼きの食べ方からも広島に縁があったのは明確です。
しかし、広島に関わりがあることを極端に拒絶するような態度からも、もう広島には関わりたくないのでしょう。
久能整は幼い頃、美吉喜和と親しかった
整は「人のクセをまねるクセ」があることをガロに指摘されていました。
その際に、「小さい整くんは一体誰の気を惹きたかったのかな?」と言われています。
子供が必死に気を引きたい人物はそんなに多くないはず。
おそらく、母親か父親か祖母なのか、はたまたその全員か身内であるのでしょう。
母親からは関心を持てなくなったと言われ、自分自身も父親には無関心になってしまったと発言している彼が気を引きたかった人物は誰なのか?
彼の過去に深く関わる人物であることには間違いはないはずです。
他に、整の過去に深い関りがある人物と言えば、心理カウンセラーの美吉喜和(みよしきわ)。
小さい頃いろいろあって、家に帰りたくなくてぼんやりと外で過ごしていた整に声を掛けたのが、美吉喜和だったのです。
「いっぱい考えて、いっぱい誰かに話そう」と整の性格を後押しし、今のおしゃべりが好きな整ができあがったのでしょう。
美吉喜和と出会い、人格が形成され、実の母親からは関心を持たれずに祖母や父親から虐待を受けていた。
現在わかっている整の過去はこれくらいです。
今後どのように明かされていくのか、気になる点ですね。
まとめ
久能整という人物はその性格からして不思議な点が多いのですが、彼の抱える過去も謎が多いです。
「ミステリと言う勿れ」には様々な伏線があり、さらっと読んでしまったシーンも徐々に物語が進むにつれて貴重なシーンとなっていることもあります。
今後どこかのタイミングで久能整の過去がすべて明かされる回もあるかもしれません。