2006年公開の劇場版第10作目。10作目ということもあり、登場人物がとにかく豪華。
光彦の声がいつもと違うなぁと思っていたら、今作は大谷育江さんから折笠愛さんに変更になっています。
主題歌はB'zの「ゆるぎないものひとつ」
キャッチコピーは、「探偵たちよ、安らかに眠れ」「さよなら、コナン」
人が死なない数少ない作品のうちの一つ。(正確には過去の事件で人は死んでいるんだけど、コナンの前で殺人事件は起きていない)
※ネタバレになりますのでご注意ください。
『探偵たちの鎮魂歌』の内容。あらすじから結末まで
小五郎のもとに舞い込んだ依頼
依頼人に呼ばれ、ミラクルランドの敷地内にあるホテルを訪れたコナン達。
依頼人の秘書だと名乗る男に迎えられ、スイートルームへ通される。 そこで、腕につけるタイプのミラクルランドのフリーパスIDをもらう。
秘書:君はここに残って下さい。
小五郎を残し、部屋を後にしようとする蘭と少年探偵団だったが、コナンだけ残るように言われる。
ビデオが流れ、依頼人が画面に写し出される。小五郎を呼んだのは、ある事件を解決してほしいから。
小五郎の知り合いである竜探偵も、以前同じ依頼を受けていたようだが解決できなかった為、腕につけていたIDを爆破されてしまう。
原作ファンには懐かしいと思うが、『集められた名探偵! 工藤新一vs.怪盗キッド』に出てきていた茂木や槍田の名前が出てくる。
依頼人:あなたたちに与えられた時間は今夜10時まで。それまでにある事件の真相を掴んで下さい。もし時間までに解決出来なければ、あなたたちのIDも爆発して、竜探偵の後を追うことになる。
IDには、プラスチック爆弾が仕込まれていて、依頼人が解除する前に外すと爆発する仕組みになっていた。さらにIDにはGPSが組み込まれていて、蘭や少年探偵団達のIDは、ミラクルランドから出ると爆発する仕掛けになっている。
コナンは探偵バッジを使い、ミラクルランドに入るなと灰原に伝えたが、手遅れだった。
依頼人:第一のヒント、一度しか言わないからよく聞いてくれ。『TAKA 3ー8』だ。
小五郎:なんのことだ!もう一度言ってくれ!
依頼人:一度だけと言ったはずだ。タイムリミットまであと12時間。さあ、謎を解決してもらおうか…私の為、そして子供達の為にね
すかさずメモ帳を取りだし、ヒントをメモするコナンはさすが探偵。しかし、メモ帳を持ち歩いているなんて意外とマメですね。
その後、依頼人からの指示を受けるための携帯電話をもらう。
使用人:事件が解決しましたら、この携帯に入っている私の番号へ掛けたあと、こちらへお戻り下さい。じっくり、その真相をお聞きしましょう。
第一のヒント 「TAKA 3-8」
コナン:だから、絶対にミラクルランドから外に出さないでくれ!エリア外に出れば、IDが爆発してしまう!もちろん、スーパースネークも駄目だ!あのジェットコースターは、途中で海へ大きく飛び出すのがうりなんだからな!おい、聞いてんのか!灰原!
灰原 :ええ、わかったわ。今夜10時までにその事件を解かないと、あなたもあたしも木っ端微塵になるってわけね。…面白いじゃない?
コナン:…面白いって、お前な!
灰原 :じゃ、預けたわよ私達の命…名探偵さん。
第1のヒントは、高島町3-8-5と推理。
再開発で町名が“みなとみらい”に変わってしまったが、ヒントの場所には廃墟になったホテルがあった。そこに住むホームレスから情報収集をするコナンと小五郎。
コナン :最近、何か変わったことなかった?何でもいいんだけど…
ホームレス:うーん、そうだなぁ…あ!そういや真っ白なでっけぇ鳥が飛んできたことがあったっけ!
小五郎 :でっけぇ鳥?
ホームレス:太陽の前をびゅーっとなぁ!
コナン :それっていつのこと?
ホームレス:俺の誕生日の4月4日さ。その日は朝から、変な車が止まってるわ、不動産屋が来て、そこの地下室は締めちまうわ。
コナン :変な車って?
ホームレス:ここには、滅多に車は入って来ないからな。朝出かける時、そこの庭に、まだ真新しい車が止めてあったんだけど…夕方戻ってみると、ボロい中古車に変わってたんだ。その車も、夜にはパーツ取られて、骨組みになっちまったけどな。
コナン :地下室を閉めたってどういうこと?
ホームレス:地下は機械室だからなぁ…機械売って、金に変えようって事だろぉ。
コナン達は地下室でバッグに入った目出し帽、手袋、銃(ガバメント)、4月4日の高速道路の領収書を発見した。4月4日に、なんらかの事件を起こした人が、車を入れ替える為にこのホテルへ来たと推理する。
そして、でっかい鳥とは怪盗キッドのことだった。
キッドの仲間だと誤解され、張り込んでいた刑事に誤認逮捕されてしまった小五郎。
警察署で小五郎が取り調べを受けている間、コナンは中森警部や目暮警部の会話から情報を得る。
実はキッドから深山社長のもとに予告状が届いていた。深山ビルの最上階に社長が趣味で収集している宝石類を飾った美術館があり、4月4日に大きなダイヤが盗まれていた。
小五郎のポケットから携帯電話をぬきとったコナン。依頼人から電話がかかってくる
依頼人:毛利探偵…いや、工藤くんかな?やはり君か、高校生探偵、工藤新一くん。毛利探偵と一緒に君が来ていてびっくりしたよ。本当は君にも調査を依頼したかったんだがね。しかし、どうやって連絡をつければいいかわからなかったものでね。
なぜ正体を知っているのか、コナンは疑問に思う。
この事については映画の最後に判明するが、最初に案内されたスイートルームの椅子のひじ掛け部分が指紋認証装置になっていて、指紋からコナン=工藤新一だとわかった。
第二のヒント 「夜のカフェテラスへ行ってくれ」
横浜港大さん橋で阿笠博士にスケボーをもらうコナン。
第二のヒントである「夜のカフェテラスへ行ってくれ」という謎がとけたのかと阿笠博士に聞かれ
コナン:夜のカフェテラスは、ヴインセントファンゴッホが1888年に描いた、淡いガス灯に照らされたカフェテラスの奥から、馬車が向かってきている風景画。ガス灯と馬車とくれば…日本で一番初めにガス灯がつけられた、馬車道しかねぇぜ。
スケボーに乗り、目的地へ向かう。
遊園地では、蘭が園子と会う。園子はレッドキャッスルホテルで行われるパーティーまでの暇つぶしでミラクルランドに来ていた。
レッドキャッスルホテルは園子の父さんが建てたようなものらしい。さすが鈴木財閥。あらゆるところで、名前が出てくる。
馬車道に着いたコナンは、服部平次と会う。実は平次も、同じように和葉を人質にとられていた。
コナンと平次は、現金輸送車が襲撃された事件に関係があるのかもしれないと閃き、近くにいた占い師に話を聞く。占い師の話だと、現金輸送車が襲われたのは4月4日で、警備員が1人射殺されたという。
占い師:ぼうやたち、今日はあんたたちの人生の中で最悪の日だわ。うちに帰って寝てるんだね。
コナン:ああ、そうするよ。人生で最良の日に変えたあとでね。
咄嗟の返答なのに、さらっとキザな事を言うコナン(笑)
占い師のもとを立ち去るコナンと平次のところへ小五郎が合流。目暮警部に何があったのか問い詰められる小五郎だが、そこでタイミングよく依頼人からの電話が。
警察と一緒にいたところを監視されていて、近くにあった店舗の人形が爆発する。小五郎は、目暮警部にケンカをふっかけるふりをして、さりげなくメモを渡していた。
蘭や子供たちがミラクルランドで人質に。
外へ出ると爆発するIDが手首に…
極秘に蘭たちの保護をよろしく
毛利
いつもは頼りない小五郎なので、たまにこういった機転が利く行動をとると、「おお!」と感心してしまう。
第三のヒント 「YOU CRY」
小五郎はコナンたちと別れ、単独で調査にあたる。
馬車道でのヒントを解いたものの行き詰まったコナンに、平次はまだ解けていないヒントがある事を伝える。
平次:俺が出されたヒントはこうや。「夜のカフェテラスとYOU CRY」お前は泣くってな。
YOU→横浜海洋大学(ヨコハマ オーシャン ユニバーシティ)と推理。
CRY→まだわからないが、とりあえず横浜海洋大学に向かう。
蘭たちは、途中で和葉に会い、3人でケーキバイキングに行く為ミラクルランドを出ようとするが、ちょうどその時、蘭と和葉を医務室に呼び出す放送が流れる。
ミラクルランドから出るとIDが爆発してしまう為、それを知っていた灰原は、具合の悪いフリをして2人を呼び出した。
灰原:ずっと側にいてね…(疲れるわ、この演技…)
横浜海洋大学を訪れ、ヒントの“CRY”について調べるコナンと平次は、白馬探に会う。
白馬:横浜犯罪研究会、クライムリサーチオブヨコハマ。僕はこのクラブが限りなく正解に近いと思いますけど。
白馬も手にIDをつけており、大切な人がミラクルランドに居るという。
犯罪研究会の学生に、3代目会長・伊東末彦が除名処分になったこと聞き、伊東について調べる3人。
白馬の調べによると、伊東は卒業後にファーイーストオフィスという会社を設立していた。さらに犯罪研究会のメンバーである、西尾正治と清水麗子もその会社に勤めていた。
単独調査を続ける小五郎は、妃英理に電話をかけ、4月4日の現金襲撃事件の資料を調べて欲しいと頼む。
小五郎:なぁ英理、俺に解けると思うか?…この事件。
妃 :捜査は足で…そうじゃなかった?元刑事さん
なんだかんだいって信頼し合っているこの2人。
コナン「禁じられると」
平次 「入ってみたなるんが」
白馬 「探偵の性」
ファーイーストオフィスについた3人。現在は倒産して立ち入り禁止になっているビルに忍び込む。
ファーイーストオフィスでは、過去に殺人事件があり、西尾正治がライフルで射撃されていた。
そのことで警察から任意で事情聴取を受けていた清水麗子は、5月15日に自殺した。
狙撃事件の現場を調べる3人だったが、突如バイクがビル内に侵入してきて、コナンと白馬、そして平次の二手に分かれて逃げることに。
バイクに追いかけられたコナンは、橋から落下してしまう。
ミラクルランドでは、小五郎のメモを受け取った目暮警部たちが蘭たちと合流。
歩美を人質にとった、ひったくり犯がミラクルランドのゲートを抜けようとするが、ちょうどそこへ園子が入ってくる。
園子:ちょっとぉ!ここは入り口でしょ、出口はとーなーり!
犯人:いいからそこどけぇ!
園子:ん?怒鳴ってもだーめ!ルールは守って
園子は犯人を突き飛ばす。逃げた犯人は、高木刑事とデートをしていた佐藤刑事を人質にとり、見事に確保される。
佐藤刑事、かっこいい!
そこへ何も知らない高木刑事が登場。
高木:すいません、ちょ、ちょ、ちょっと通してください。すみません、ソフトクリーム買ってきました、佐藤さん?
目暮警部と白鳥警部に発見される…気まずい(笑)
事件の真相。犯人と犯行動機
橋から落ちたコナンは左足をケガしていたものの、白馬に助けられ、平次と共に阿笠博士の車の中に居た。
そして、小五郎が依頼人のもとへ向かったと聞き、コナンと平次も後を追う。
コナンと平次は、依頼人に推理を披露している小五郎を殴って気絶させ、部屋にあった甲冑が身に着けていた斧と盾を持って隠し通路を進む。
依頼人は伊東末彦だった。伊藤は事故で体が不自由になり、目も見えなくなっていた。
事件の真相はこう。
伊東は、自らが西尾を射殺したと思い込んでいたが、実際に西尾を射殺したのは、清水麗子。
麗子が1発撃った後、伊東にライフルを手渡し、伊東が残りの7発を撃った。しかし伊東が撃った7発の弾丸は全て外れていた。
殺害現場を見たコナン達は残された血痕から、西尾の頭を1発で撃ち抜いたスナイパーと、弾を乱射した素人の2人がいると断定。清水と伊藤のどちらがスナイパーかわからなかったが、証人である清掃員の話を聞いて、伊東が素人だと確信した。
清掃員によると、狙撃場所のトイレからカランカランという音と、ゴルフバッグを背負って慌てて出てくる伊東の姿を見たという。カランカランという音は、薬莢がタイルの床に落ちる音。それが数回したということは、乱射したのは伊東。つまり、スナイパーは清水麗子。
清掃員に目撃された時に伊東が持っていたゴルフバッグの中身は、犯行に使われたチャーターアームスAR7。そのライフルからは、麗子が使っていたレア物のマスカラが検出されていた。
犯行後に、海にライフルを始末しようとして埠頭に向かった伊東の車に、麗子は細工をした。そして、事故に見せかけて伊東を殺そうとした。
麗子の犯行動機は、奪った金の独り占め。
現金輸送車襲撃事件は、伊東・西尾・麗子の3人で行ったもの。
逃走中、キッドに顔を見られた3人は、キッドを狙撃しようとする。ガバメントとライフルの薬莢が裏道に落ちていたことから、車に乗ってたのは、運転手を入れて3人だとわかった。
コナン:そう、この事件には最初から必要なかったんですよ。名刑事も名探偵もね。
実は、この事件のほとんどの証拠は警察が見つけていたもの。 伊東が無能だと罵っていたが、警察には事件の真相がわかっていたのだ。
伊東が探偵達に事件の調査を依頼したのは、麗子の無実を証明して欲しかったから。
一方、深山美術館に侵入したキッド。
犯罪研究会の後輩である伊東たちから、襲撃事件をキッドに目撃されたという相談を受けた深山は、キッドの命を狙っていた。しかし、キッドは警察を呼んで、逆に深山を追い詰める。
キッド:あなたのゲームもこれでゴールだ。それも最悪の…オウンゴールかな。
深山のところに隠れていた清水麗子は、コナン達の前に姿を表す。自殺したと思われていた麗子だが、実は生きていた。
麗子は、コナンと平次を殺そうと発砲する。サッカーボールを蹴って反撃しようとするコナンだが、ケガをした足が痛くて蹴れない。
平次:使え工藤!空中やったら軸足いらんやろ!
服部は天井に斧を投げコナンをサポート。コナンは、軸足のいらない空中でボールを蹴る。
一件落着したところで、パソコンを操作してIDを解除しようとするが解除できない。
伊藤 :秘密を共有することで、男と女の仲は深くなる。一番深い秘密は、愛する女性と犯罪を共有することなのさ。だから、現金輸送車を襲うのが、麗子との愛情表現だった。だが、西尾が警備員を打った為に、私の完璧な計画が台無しに。
コナン:完璧なんてこの世にはねーよ。絶対どこかで歯車が噛み合わなくなる。そのまま無理矢理動かして、なにもかも駄目にするか、一度リセットして正常に戻し、頑張って遅れた分を取り戻すかはその人次第。あんたは怖かっただけだよ、リセットするのがな。
ここでパソコンを一度リセットする。解除パスワードを要求され、伊東に答えを聞こうとするが気絶していた。
Q.あなたが一番愛する人の名前は?
“清水麗子”と入力するもパスワードエラーで弾かれる。
麗子:それに話すことと言えば自慢話ばっかり。
伊東:だが、西尾が警備員を打った為に私の完璧な計画が台無しに。
コナンは、先程の麗子や伊東の言葉を思い出す。そして、“伊東末彦”と入力する。ギリギリの21時59分59秒でタイマーは解除された。
時限装置は解除できたが、エリア設定は解除できなかった。ミラクルランドから出たら爆発するから残らず回収するよう、阿笠博士に電話で伝える。
IDの謎とキッドの変装
みんなのIDを回収する千葉刑事。これで事件解決かと思いきや、元太がIDをつけたままスーパースネークに乗っていた。
このままだと爆発してしまう為、ジェットコースターの安全バーを壊して、引っ掛かっていたIDを取ろうとするコナン。
しかし、安全バーは全ての座席が連動していた為、壊せない。結局、キッドがIDを回収し、空中で爆発。
おいしいところはキッドに持っていかれた。
平次 :なーんであいつ、ここに…
コナン:捜査中から、俺たちと一緒に居たからさ。
エピローグで、竜探偵は大金を積まれて死んだふりをしていた事が発覚し、茂木や槍田の名前を出したのも、ただのハッタリだとわかった。
元太が腕にIDをつけたままだったのに、千葉刑事が回収したIDの数が足りていたのは、回収したIDに園子のIDが混ざっていたから。園子のIDは普通のIDでプラスチック爆弾とは何の関係もない。
その為、数を数えて全部回収したと思い込んでいたが、元太のIDを見落としていた。
そして、園子のIDが無くなった謎と、なぜ戻ってきたIDにペンキがついていたのか。これは、キッドが園子のIDを盗んで白馬探に変装し、コナン達と行動を共にしていたから。
根拠となる点は下記のとおり。
- ファーイーストオフィスで、白馬に黄色いペンキがかかっていた→IDにも付着→園子のIDの黄色いペンキ
- コナンの「捜査中から、俺たちと一緒に居たからさ」という最後のセリフ
- コナン達が横浜海洋大学・ファーイーストオフィスを訪れた時、依頼人の見ているモニターのGPS反応は2人分しかなかった
白馬が、大切な人がミラクルランドにいると言っていたが、あれはコナン達を信じ込ませるためであって、おそらく嘘だと思う。
この映画は、“白馬=キッド”というのを頭に入れながらもう一度見ると、1回目とはまた違う面白さがある。
『探偵たちの鎮魂歌』のネタバレ感想と考察
レギュラーキャラが勢ぞろい
この頃のレギュラーキャラがこぞって出演するという豪華さ。今の時点で、同じように全レギュラー陣が登場する映画を作ったら、すごいことになりそう(人数が多過ぎて)。
白馬が原作で初登場した時は、なんとなく今後も度々出てきそうなキャラだと思ったのに、ほぼ出てきません(笑)
今回、映画で登場したと思ったら実は変装だった為、正確には本人ではないというオチ。イケメンキャラだから人気ありそうなんだけど…。
ちなみに依頼人(犯人)である伊東末彦を演じる声優は、今や大人気となった安室透の声も担当している古谷徹さんです。
登場人物がたくさん出てくる点がファンには嬉しいところではありますが、これといった見せ場のない映画。
コナンがスケボーで逃げるアクションシーンはあったけれど、あれだけでは物足りない感じがします。ミステリー要素もそこまで凝ったものではないので、せっかくの豪華出演なのにもったいないし、ちょっと詰め込みすぎたかなという印象も受けます。
それぞれの視点で進むストーリー
この映画は主に2つの場所でそれぞれ物語が進行していきます。
- コナンが活躍する事件の捜査
- 蘭や少年探偵団がいる、ミラクルランドでの出来事
後半には、キッド視点で物語が進むシーンもあります。
結構、目まぐるしい展開かもしれませんが、場面を変える事によって、見ている人を飽きさせない作りになっています。
犯人の動機のまとめと考察
動機については少し複雑になっている今作。子供にはちょっとわかりにくいのではないでしょうか。少しわかりやすいように整理してみます。
まず清水麗子の動機について。これは単純に奪ったお金を独り占めしたかったからです。その為にまず西尾をライフルで狙撃し、さらに全ての罪を伊東にかぶせ、事故に見せかけて伊東も殺害しようとしましたが、これは失敗に終わります。
なんとも冷酷な人間ですね。
そして次に伊東の動機について。
まず伊東が西尾を殺害しようとした動機は、伊東が考えた襲撃事件の完璧な計画が西尾によってぶち壊されたから。襲撃事件の時、西尾は誤って警備員を殺してしまいます。それが伊東は許せなかったのです。
この動機から考えると伊東は完璧主義者で、自分の思うとおりにいかないと納得できないタイプの人間のようですね。
伊東が、自分の思うとおりにいかないと納得できない性格というのは、探偵たちに事件の調査を依頼した動機からもわかります。伊東が調査を依頼した理由は、西尾殺害時の麗子の無実を証明して欲しかったから。
西尾殺害事件は、警察が捜査した結果、ほぼ清水麗子の犯行で間違いないとされていたので、麗子は任意で事情聴取されていました。しかし伊東は、麗子が犯人というのが、どうしても納得出来なかったのです。
なぜなら伊東は、自分が西尾を殺害したと思い込んでいたから。実際、西尾殺害は麗子の犯行であり、さらに伊東は麗子によって殺されかけているのに、そこまで麗子を信じるとは…麗子を愛していたからなのか、とんだお人好しだったのか。
さらに伊東は、麗子が生きているのを知りませんでした。警察の取り調べで追い込まれ自殺したのだと思っていた伊東は、警察を許すことが出来ませんでした。だから警察を無能呼ばわりしていたのです。
伊東は麗子にうまいこと踊らされていたという結果になりますね。
麗子の無実を晴らす為に、探偵たちを集め、さらには人質をとってまで調査を依頼した伊東は、麗子のことを本当に愛していたんだなと途中までは思っていたのですが、それも終盤のパスワードの件で覆されます。
伊東が本当に好きだったのは自分。そう、とんだナルシストだったという結末でした。麗子への思いと歪んだ自己愛から始まったこの事件。こんなことを言っては何ですが、巻き込まれた方はいい迷惑ですね。