2012年公開の劇場版第16作目となる作品。主題歌は、いきものががかりの「ハルウタ」。
ゲスト声優として、サッカー選手(三浦知良・遠藤保仁・楢崎正剛・今野泰幸・中村憲剛)、足立梨花、岩貞和明、宮根誠司が、それぞれ本人役で出演。桐谷美玲が香田薫役で出演している。
キャッチコピーは、「オマエら、ちゃんとついて来んだぞ!」 「フィールド震撼!その謎にニッポンが熱くなる!!」
『11人目のストライカー』の内容と結末
事件の始まりは、毛利探偵事務所にかかってきた、爆弾を仕掛けたという一本の電話。
サッカー教室
阿笠博士の車で、米花スポーツランドに向かう少年探偵団。
米花スポーツランドでは、Jリーグ主催のサッカー教室が行われていて、コナン達の他に、蘭や園子・小五郎も一緒だった。
日売TVスポーツ情報局部長・山森慎三が、小五郎に声をかけてくる。
近くには、日売新聞スポーツ芸能部カメラマン・香田薫もいた。
イベントには、奇跡のワントップと呼ばれていた、バイク店アルバイト・中岡一雅の姿もあった。
中岡は、3年前に杯戸高校を全国制覇へと導き、スピリッツ入りも内定、将来のエース候補と言われていた人物。
しかし、決勝戦の1ヶ月後にバイク事故を起こし、そのままサッカー界から姿を消していた。
スポーツジムインストラクターである榊良輔は、小五郎に紹介したい人がいるという。
小五郎は、榊の事を、“オウンゴールの榊”と揶揄する。
というのも、今から10年前、リーグ戦の最終戦で榊がオウンゴールをしてしまった為、米花大学は5年ぶりの優勝を逃したのだ。
榊が小五郎に会わせたかったのは、町工場経営者・本浦圭一郎。
本浦は、小五郎に見て欲しい写真があるという。
それは、今年の8月に病気で亡くなったという息子・知史の写真。
体が弱くて、医者に運動を止められていた知史くん。
一度だけ試合に出させてもらった事があり、写真は試合でゴールを決めた時のものだった。
真田「おい、ガキ共!俺はサブとちゃう!スーパーサブや、覚えとけ」
遅れてきたビッグ大阪所属・真田貴大が、少年探偵団に怒鳴る。
光彦に、“ワントップの比護のサブ”と言われたのが気になったらしい。
小五郎のもとにかかってきた爆破予告と暗号
冒頭、毛利探偵事務所にかかってきた電話で犯人は、小五郎に暗号を解けと要求。解かなければ多くの死傷者が出ると言う。
その暗号というのは…
青い少年と青いシマウマ
上からの雨
下から人が左の手でそのまま示すのは左の木ヒント:次は米花。ネクスト米花
小五郎は爆弾の場所を推理し、目暮警部たちと杯戸公園へ向かう。しかし爆弾はなかった。困った蘭は、新一に電話し、爆破予告の暗号を伝える。
東都スタジアムに、東京スピリッツ対ビッグ大阪の試合を見に来ていたコナンと少年探偵団と阿笠博士。コナンは、蘭からの電話に新一の声で応答し、暗号を解読。
- 青い少年と青いシマウマ→スピリッツとビッグのマスコットキャラクター
- 上からの雨→あめかんむり
- 下から人→にんにょう
- 左の手→てへん
- そのまま示す→示
- 左の木→きへん
この部首を使って文字を作ると、『電光掲示板』となる。
さらに、“次は米花、ネクスト米花”→東都環状線の車内の“電光掲示板”の案内を示している。つまり、爆弾が仕掛けられているのは、東都スタジアムの電光掲示板。
コナンは爆弾を見つけ、新一の声で目暮警部に電話をかけ、ホーム側のスピリッツのファンを避難させるように伝える。全て解除している時間はないと気づいたコナンは、電光掲示板の落下を防ごうとする。
観客が避難したところで、爆弾が爆発。電光掲示板は、落下してしまったが、コナンのおかげで最悪の事態はまぬがれた。
容疑者は5人
翌日、マスコミが集まる毛利探偵事務所に、目暮警部たちがやってくる。
コナンが爆破予告の話を小五郎から聞いて、あることに気づいた。
犯人は電話で、“ハンドリングのハンド”と例えていたが、そう例える人はめずらしい。さらに、先日のサッカー教室で遠藤選手が同じ言葉を口にしていた。
サッカー教室で遠藤選手のその言葉を聞いていた人の中に犯人がいるのではないかと考える。容疑者は5人。山森・香田・榊・本浦・中岡。
中岡と聞いて、高木刑事が“雪の国立の中岡”の話をする。
高木:3年前、甥っ子に誘われて見に行ったんです。大雪のため、2時5分開始の予定が、大幅に遅れて、たしか3時40分にキックオフになって、試合は0対0のまま延長に突入。あわやPK戦かっていう残り4分に、中岡が決勝のゴールを決めて、終わったのは、なんと6時10分前でした。
5人について調べた結果。
- 山森…今回の事件で番組の視聴率がはねあがり、部長降格のピンチをまぬがれた。
- 香田…スクープ写真で、社会部への復帰に一歩近づいた。
- 榊 …爆破の動機は特になし。大学時代のオウンゴールをひやかされた毛利への挑発行為かも。
- 本浦…息子・知史は、今年の8月、東都スタジアムで行われたJリーグのオールスター戦をテレビで観戦した後に発作を起こし、救急車で運ばれた。
- 中岡…3年前の2月、バイクで事故を起こした後、手術を受け、半年間リハビリを続けるも、左足はもとのようにならず、スピリッツから内定を取り消された。その後、サッカーを諦め、単身で南米へ。1年後の去年の8月に帰国。群馬の実家に戻り、バイクで暴走行為を繰り返すなど、すさんだ生活を送っていた。
警察は中岡が怪しいと踏んで、徹底マークする。そんな警察に苛立った中岡は、高木刑事に殴りかかり、暴行未遂・公務執行妨害で逮捕される。
しかし、佐藤刑事・高木刑事が中岡を取り調べた結果、スピリッツへの恨みという線はなさそうだと言う。
たとえ15分でもいいから、フォワードの切り札として使いたいと言ったスピリッツに対し、
中岡:俺のプライドが許さなかったんだ。90分間、ピッチに立ち続けられない人間に、サッカーを…サッカーをやる資格はねえ。まして、プロのJリーガーなんだからな。
スピリッツが内定を取り消したわけではなく、中岡が、なしにして欲しいと申し出たのだ。
早朝トレーニング
コナンは、香田のメモ帳に書いてあった
杉並運動公園
AM6:00~
K・K
というのが気になり、その場所に行ってみた。そこには、早朝トレーニング中の三浦知良選手の姿が。
香田は、三浦選手が早朝トレーニングをしていたのを知り、写真を撮らせて欲しいと頼んでいたのだ。
三浦選手とサッカーをしたコナンは、別れ際に白いリストバンドをもらう。14~15年前にも、コナンと同じくらいの歳の子と練習して、赤いリストバンドをあげたと言う。
時を同じくして、小五郎のもとにメール便と犯人からのメッセージカードが届く。昨日の夕方、蘭が郵便受けを確認した時には何もなかった為、投函されたのは、昨日の夕方以降ということになる。
犯人の要求は…
2丁目の電話ボックスに小五郎宛てのメッセージを残した、とポアロに電話がかかってきた。
警告文
J1リーグの10のスタジアムに爆弾を仕掛けた。
試合が終了した時刻に、爆弾は爆発する。ロスタイムはなしだ。
だが、ノーチャンスというのも面白味に欠けるから、一つだけチャンスをやろう。
後半、
ホーム側のゴールを攻めるチームが指示されたプレーを行った時、爆発は止めることができる。
止まった証として、電光掲示板を二度点滅させよう。
ただし、その指示を伝えていいのは、各チームの監督とエースストライカーのみ。他の選手には、一切知らせてはならない。
試合中、不自然な動きや観客の避難、爆弾の捜索などの行為があった場合、即時に爆弾を爆発させる。
エースストライカーには、左腕に赤いリストバンドをつけさせておけ。
さて、爆発を止められる唯一のプレーとは、この警告文に、すでに示されている。
なお、もし爆発が起こらなかった場合も、ゲーム終了後35分間は爆弾の捜索を禁じる。
守られなかった場合、観客の命は保証しない。
毛利小五郎!!私を止めたければ、11人目のストライカーとなって、私の所へ来い!
では、健闘を祈る。
警告文に隠されていたのは、“クロスバーの真ん中にシュートを当てろ”というメッセージだと推理したコナンたち。
すぐに各クラブの監督とエースストライカーにその事実が伝えられる。もちろん国立競技場のクラブチームにも。
真田:比護さんが下がった今、エースかどうかはともかく、ストライカーと呼べるのは、俺しかおらんやないですか。
ビッグ大阪は、比護選手がケガをしたため、代わりのストライカーは真田選手。監督から、エースストライカーの証であるリストバンドを受けとる真田選手の手は震えていた。
灰原「全スタジアムのサポーターの命運がかかっている…彼ら、10人のストライカーにね」
次々とクロスバーにシュートを決めていくエースストライカーたち。
国立競技場の真田選手は、クロスバーにシュートを決めるが、電光掲示板の解除サインが出ないことに疑問をもつ。
知史くんが亡くなった日の出来事
目暮警部のもとに白鳥警部から、犯人がわかったと電話が。コナンと小五郎と目暮警部たちは、本浦のもとへ向かう。
知史くんが亡くなった日、東都スタジアムでは、Jリーグのオールスター戦が行われていた。
知史くんを乗せた救急車がスタジアムの近くを通った時、興奮したサポーターたちによって行く手を阻まれ、しばらく動けなくなってしまった。そして、そのサポーターたちを先導していたのが、小五郎だった。
彼らがいなければ、知史は助かったかもしれないと思うと、小五郎とサポーターたちの事が、どうしても許せないと本浦は言う。
しかし、この話には続きがあった。実は、小五郎たちは人助けをしようとしていたのだ。
熱中症で倒れた老人の応急措置をしながら、救急車の到着を待っていた。そこに、知史くんが乗っていた救急車がたまたま通りかかり、小五郎は自分が呼んだ救急車だと勘違いして止めたのだ。
真犯人と犯行動機
犯行動機と言えるものがあり、犯人かと思われていた本浦だが犯人は別にいた。その証拠に、小五郎のもとに犯人から電話が掛かってくる。
コナンは、阿笠博士の車に乗り、少年探偵団と共に、真犯人がいる東都スタジアムへ向かう。その車内で、蘭と園子が国立競技場に行っていたことを知る。車を降り、コナンだけ東都スタジアムの中へ。
真犯人は中岡一雅。
郵便受けの予告状はアリバイ工作だった。メール便が投函された時、奥に挟み込んでいた予告状が落ちてくるようにちょっとした仕掛けをして、自分は完璧なアリバイを手に入れた。
犯行動機は、知史くんの死の原因となったかもしれない、小五郎とサポーターへの復讐。
中岡は、高校3年生の時、自主練を見ていた知史くんに声をかけた。中岡が小さい頃、三浦選手に声をかけられたように。
一緒に練習をして、知史くんが試合でゴールを決めたら、祝杯をあげようと約束していた。そして知史くんは、試合でゴールを決めたが、約束を果たす前に亡くなってしまった。
爆弾は国立競技場を含む10のスタジアムに仕掛けられていた。
国立競技場の爆弾だけは中岡が持っているかばんの起爆装置と連動するようになっている。爆発時間は、中岡が国立でゴールを決めた、試合終了4分前。国立競技場が聖地だからこそ、人生の終わりと共に爆発させようと決めたのだ。
東都スタジアムに爆弾を仕掛けたのは、暗号を解いた小五郎が来た時に一緒に死ぬつもりだったから。
中岡は爆破スイッチを押した。1分ごとに爆発が起こる。
コナン:ガキはてめぇの方だっつってんだよ!
すべてを他人のせいにし、自分の都合の悪いことは全部嘘だと否定し、ぶち壊そうとする、とんでもねーわがまま坊主だ。
わかんねーのかよ!あんたが否定してんのは、知史くんが大好きだったサッカーなんだぞ!
あんた、知史くんの思い出までぶち壊そうとしてんだぞ!それがまだわかんねーのかよぉ!
中岡に説教するコナン。中岡の目には、コナンと知史くんの姿が重なって見える。
爆弾を止めるため、ボールを出して、クロスバーの真ん中を狙うコナン。
コナン:くそぉ!冗談じゃねー!あきらめてたまるか!(止める!爆弾は俺がぜってー止めてやる!)
シュートが決まったかと思いきや、上から落ちてきた照明に邪魔され、絶体絶命のピンチ。
そこへ少年探偵団が助けに来る。
元太が持っていたヒデのサインボールを光彦、歩美が、ロングパスで繋ぐ。
歩美が蹴ったボールは、瓦礫に阻まれ、コナンのもとへ届かなかったが、転がったボールの先には、灰原の姿が。
灰原:(工藤くん、みんなの想い、あなたに預けるわよ。受け取りなさぁい!)
灰原の蹴ったボールは、コナンのもとへ。
コナン:(上等だぜ、おめぇら!)
冒頭のサッカー教室での練習が、ここで伏線になるとは。
遠藤選手に教わったシュートで爆弾を止めるコナン。
中岡「たいしたガキだ。11人目のストライカーは、お前だったんだな、江戸川コナン」
エピローグ。
冒頭、蘭が言いかけていた、“中学の時、新一が蹴り損なったボールが…”という話が最後の最後で明かされる。
コナン(新一)「白だ…」
その話というのは、蹴り損なったボールを蘭が蹴り返したとき、パンツが見えてしまったという話。
『11人目のストライカー』ネタバレ感想
クライマックスで少年探偵団の絆が見れて良かったのですが、個人的にはなんだかサッカー選手をヨイショしているような気がする作品でした。
まず今回の映画で一番気になったのが、遠藤選手をはじめとするサッカー選手の棒読みです。
申し訳ないですが、あまりにもひどすぎて映画の内容が頭に入ってこないほど。
特に遠藤選手。
クライマックスやコナンの回想シーンで出てくるのですが、あまりにも印象が強すぎます…(笑)
サッカー選手が好きな人は、選手本人が声優を演じていて嬉しいとは思いますが、そうではない人にとっては映画を台無しにする要素でしかありません。
今作で映画初登場したビッグ大阪・真田貴大選手の活躍も中途半端。
序盤からかなりピックアップしていたので、もっと活躍するのかと思っていたのですが、結局そこまで活躍せずに終了。
エースストライカーの比護選手をケガで下げてまで真田選手を目立たせたのに、結局爆弾を止めたわけでもないしモヤモヤが残ります。
反対に良かったと思うところは、ラストで少年探偵団がボールをつなげるシーン。
冒頭のサッカー教室が伏線として活かされているし、少年探偵団の絆を感じました。
個人的には、コナンが1回目のボールキックを失敗するところも含めて良かったと思います。
ラストシーンといえば、コナンが国立競技場の爆弾を無事に止めたわけですが、爆弾を止めた後の国立競技場の様子が一切描かれていません。
エピローグで園子がボソッとつぶやいているくらいです。
蘭と園子が国立競技場にいるシーンを入れたのだから、そこの伏線はもっときちんと回収して欲しかったなと思います。
なんにせよ、棒読みが気になってなかなか内容に集中できない映画になってしまいました。
ちゃんとした声優さんを起用していれば、また違ったのかなと思います。