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『君の膵臓をたべたい』タイトルにこめられた本当の意味とは?【ネタバレ感想】

『君の膵臓を食べたい』 住野よる

君の膵臓をたべたい

2017年に実写映画化もされますね。

衝撃的なタイトルに思わず目をひかれる一冊。私自身も、インパクトの強いタイトルのわりに、青春小説かな?と思わせる表紙とのギャップが気になり購入しました。

 

作者の住野よるさんについて

作品の雰囲気からてっきり10~20代くらいの女性だと思っていましたが、実際は20代男性だそうです。現在はもうなくなってしまいましたが、Twitterのアカウントでご自身がそう言っていたみたいです。

 

『君の膵臓をたべたい』が、住野よるさんのデビュー作。

夜野やすみという名義で “小説家になろう”というwebサイトに投稿して、話題になり、そこから本になった作品です。

 

あらすじ

病院のロビーで「僕」は偶然1冊の文庫本を拾った。

それはクラスメイトである、山内桜良の秘密の日記帳。

『共病文庫』と名づけられたその日記帳を読んでしまった僕は、彼女の秘密を知ることになる。

彼女は膵臓の病気により、余命が一年未満だという。

彼女の秘密を知ったことにより、接点をもった2人。

「名前のない僕」と「日常のない彼女」そんな2人が織りなす物語。

 

『君の膵臓をたべたい』のみどころ

僕と彼女の2人の関係

「僕」は他人には興味をもたず、友達と呼べるような人がいない。本の世界に没頭し、それゆえ冷静で非常に大人びている。

一方、「彼女(山内桜良)」はとても明るくて天真爛漫、クラスの人気者。「うわははっ」と特徴的な笑い方をし、病気のこともジョークにして笑い飛ばしてしまうほど。

彼女がクラスメイトや大切な親友にも秘密にしている病気のことを、主人公である「僕」が知ったことにより、今まで接点のなかった2人が徐々にお互いかけがえのない存在になっていく。

会話調ですすむ、「僕」と彼女の掛け合いが面白く、非常に読みやすいです。

テンポよく交わされる会話に思わず、くすっと笑ってしまったり。高校生の日常という感じでほっこりします。

主人公の「僕」は、はっきりとした名前が最後まで出てきません。

そのかわり彼女は「僕」のことを、色々な呼び方で呼びます

その呼び方から、彼女が「僕」のことをどう思っているのかというのがわかります。これが斬新な表現の仕方で個人的には印象的でした。

物語が進むにつれて変化していく2人の関係にも注目です。

 

 

インパクトのあるタイトル『君の膵臓をたべたい』の意味

一見、グロテスクなタイトルでインパクトがあり、なぜこんなタイトルなのか?と疑問に思うほど。

タイトルの意味は、畳み掛けるように進んでいくラストで、あかされることになるのですが、読み終えたとき全く違う意味がタイトルに込められていることがわかります。

読み終わった時、「ああ、そういうことか」と、心にすっと入っていくと思います。

とてもとても暖かい言葉であり、この物語の全てがタイトルに詰まっていると言っても過言ではないです。 

 

 

ここからはネタバレになります。

『君の膵臓を食べたい』

この言葉は本の冒頭の、彼女と僕の会話の中で一度登場します。

昔の人はどこか悪いところがあると他の動物のその部分を食べていたそうです。

この話をテレビで見た彼女は、膵臓を治す為に、僕に向かって『君の膵臓が食べたい』と言っていました。

 

そして後半部分でもう一度、この言葉が登場します。

それは彼女が亡くなってしまった後、僕が“共病文庫”を見せてもらった時のことです。

彼女の日記、そして大切な人達に向けた遺書が書かれていました。

 

 

私はもうとっくに君の魅力に気がついているからね。

死ぬ前に、君の爪の垢でも煎じて飲みたいな。

って書いてから気づいたよ。

そんなありふれた言葉じゃ駄目だよね。私と君の関係は、そんなどこにでもある言葉で表わすのはもったいない。

そうだね、君は嫌がるかもしれないけどさ。

私はやっぱり。

君の膵臓をたべたい。

 

ここでやっとタイトルにこめられた本当の意味がわかります。

 

彼女と僕はお互いがお互いを、かけがえのない相手だと思っていたし、魅力的な人だと思っていました。

魅力的と言っても、“付き合いたい”とかではなく、“こういう人になりたい”という気持ちの意味でです。

そのことを伝えようとして彼女は、「爪の垢を煎じて飲みたい」と書いたけど、あまりにも普通すぎる表現でしっくりこなかった。

友達とか恋人とかいう言葉じゃ表わせない特別な関係の二人だからこそ、もっと特別な言葉で伝えたい。

そう考えて彼女が思いついた言葉が『君の膵臓をたべたい』だったのです。

彼女と僕の特別な関係だからこそ意味の通じる言葉であり、二人だけにしか伝わらない秘密の暗号のような言葉

こんな事を大切な人に言われると、そりゃあ泣いちゃいますよね!

この本のカバーに、“読後、このタイトルに涙する”と書いてあり、そんなわけないじゃんと思っていたのですが、まんまとやられてしまいました。

 

“僕”の名前

作中でずーっと名前が出てこなかった“僕”。そんな“僕”の名前は最後の最後で明かされます。

「小説家っぽい名前」と言われていたので、気になっていたんですよね。

本名は志賀春樹。確かに小説家っぽい名前ですね(笑)

 

まとめ

本の帯の感想と冒頭1ページ目から、なんとなく結末を予想できてしまうなと思いながら読んでいました。

しかし、後半で少し予想外の展開、最後は思わず一気読みしてしまいました。

帯のとおり、見事に感動させられてしまった一冊。

高校生という若さでこの病気を受け止め、笑うことができる彼女はすごく強い。

命の大切さを改めて実感し、大切な人にもっと優しく接しようと思うきっかけになりました。普段の日常が当たり前じゃなく、本当はかけがえのないものだと気付かせてくれます。

全ての人に、生きる勇気を与えてくれるような心温まる作品です。

 

住野よるさんの『また、同じ夢を見ていた』や『よるのばけもの』も、まだ読めていないのでそのうち読みたいなと思っています。